2.12.2013

企業のフェアトレードの取り組みについて

最近フェアトレード関係について商品を紹介したり、説明を求められる機会が増えた。
とても嬉しいことなんだけど、認識が曖昧だったり経験則で述べるところが多いから少し反省。

そんな感じで、自分の知っていることを整理する必要があるなあと日々感じていたのですが、ちょうど懐かしい友達から質問を頂いたので、いい機会だし知ってる限りを書いてみようと思います。

彼の質問は要約するとこう。
・利潤追求を目的とする営利団体において、フェアトレード事業は成り立つのか。
(他にもあったけど質問の意味がわかんなかったごめん笑)

ところが私自身(そしてサークル内でも)この問題は常に疑問としてもっていて、正確には答えられません。この疑問に答えるために、「フェアトレード事業主体の経営方式(モデル化を目指して)」のような研究をしたいのが正直なところです。(今度先生に本格的に相談しよう。卒論は今のテーマが良いし…。)


結論から言うと、営利団体においてもフェアトレード事業は成り立っています。これは事実です。

有名企業で言うと、イオントップバリュ、無印良品、スターバックス、ボディショップなどがフェアトレード事業を取り入れ、(今のところ)成り立っているようです。(販売中止にはなっていないという意味で。)ボディショップは取り入れた、というよりもそもそも企業のコンセプトがだいぶエシカル(ethical)であると思います。

他にも、フェアトレードの商品を扱う企業はたくさんあります。
さっきまで食べていたチョコレートを扱う会社「株式会社リタトレーディング」(http://www.ritatrading.co.jp)」、最も有名なフェアトレードブランドのpeople tree「フェアトレードカンパニー株式会社(http://www.peopletree.co.jp/index.html)」、われらが辻村先生のプロジェクトを取り扱っている「キョーワズ珈琲株式会社(http://www.kyowas.co.jp)」など、挙げればキリがないほどです。

こう挙げてみると、大きく二分されると思います。
ひとつは、CSRに取り組む力のある(期待もある)大手企業。
もうひとつは、企業のコンセプトそのものがフェアトレード(もしくはそれに近いもの)である企業。
(どちらでもない場合もあると思うけれど、それはまた後で。)

まず、大手企業におけるフェアトレード事業を考えてみます。
イオンにおけるフェアトレード商品はトップバリュのラインにならびます。トップバリュや無印良品などの顧客は「安価」よりも「品質」に重きをおいて買い物をするのではないかなという推測のもとで考えると、やはりCSRの一環として、また、顧客のニーズにあわせる形で取り入れているのではないかなと思います。(←適当なこと言ったわごめん)

問題は、取り入れられるかどうか、の話です。
こればかりは企業の会計状況を把握しないと答えられないのですが、多分現在販売している範囲(種類・数量)が「持続的に販売し続けられる」範囲なんだと思います。
積極的根拠はないのですが、2つほど消極的な根拠を挙げたいと思います。

①以前、無印良品にコットンの品質について問い合わせたことがあります。
オーガニックコットン使用という説明に対して、その含有率が低かったために理由を聞いてみました。回答の要点は以下のようでした。
(MUJILABOシリーズの原料の綿はすべてオーガニックコットン。)
・原料の供給量が少なく、安定性に欠けるという生産体制上の問題。
・CSRといえど、品質における妥協は無理という品質上の問題。
・良品基準という基準を定め、オーガニックでないものも環境や生産者への負荷が極力少ないものを選んでいる。
フェアトレードからは外れるのですが、生産体制の問題から大量の供給が難しいことや、品質が上等ではないことが伺えます。
現在の体制下での生産量と品質から計算された量での最大限の供給をしているように見受けられました。

②昨年12月のミニストップのフェアトレードバナナが販売中止になりました。
(参考:http://www.advertimes.com/adobata/article/12278/andomitsunobu.net/?p=2820)
CSRの一環としてフィリピンの契約農家のバナナをミニストップがフェアトレードで仕入れていたのですが、赤字が続き、中止となりました。
バナナは生鮮食品である、フェアトレード認証をとるためのコスト、農作物物流の仕組みにおける回避できないコスト、など様々な要因によるコスト高からの赤字、販売中止です。(担当の岡村さんは中止後もあらゆる販売経路を検討されてましたが、その甲斐もなく輸入中止だそうです。でも岡村さんのような人になりたいです。)
このように赤字が続けば商品はおけません。
逆に言うと、今売られているフェアトレード商品はコストを回収できるだけの利益があがっていると言えると考えられます。

以上から、大企業において種類・範囲の限定付きでフェアトレード商品を販売することは可能であるといえると思います。

次に、フェアトレード自体をコンセプトとして掲げている企業の場合です。
こちらは具体的な話をあまり知らないのですが、ターゲットや販売量を絞ることにより成功しているのではないかと思います。

例外的な話として、キョーワズ珈琲のフェアトレードコーヒーが挙げられます。
これは、ふつうの中小企業のコーヒー会社が、フェアトレードに取り組むというパターンです。

実は昨年前期にキョーワズ珈琲の社長さんが私の学科で一度講義して下さいました。そのときの話を箇条書きで挙げます。

企業戦略としてのフェアトレード
・フェアトレードを商品差別化として位置づけている
・はじめは他団体(JICAや他のNGO等)との共同プロジェクトでの参加が多かった。
(現在は独自のラインをもってます。)
乗り越えてきた困難
・価格制度(一定以上の価格を生産者に保障する制度)に対する不安
・認証ラベルの制約による企業内の合意形成や営業努力の必要性
・消費者による理解を求めるための努力

ミニストップの事例でもあったのですが、社長さんの熱意と賛同者の熱意が伺えました。無印の事例と同じように、生産体制による安定性への懸念や品質に関する疑念もあったそうですが、それらをひとつひとつ乗り越えて現在の販売経路を確保しているそうです。


以上まとめると、企業(営利団体)によるフェアトレードは可能であるといえます。
ただし、消費者の理解と生産者の支持が両方かなっていないと販売を継続していくことは難しい、ということだと思います。

理解のある消費者が、多少高額であろうとフェアトレード商品を選び、企業の販路拡大を支えるようになれば、企業は供給量を増やそうとします。供給量を増やすために、生産体制強化を図り、投資すれば、生産体制も強固になり、より多くの倫理的商品が流通するという、正のサイクルが回るのではないでしょうか。

個人的には、
富裕層の積極的な購買
→規模の経済によるコストダウン
→中間層の積極的な購買の促進
→規模の経済によるコストダウン
というように、みんなが手にするようになればなるほど、手に入りやすくなればいいなあと思ってます。


以上です。
知ってる限りの企業の取り組みを書き連ねたらこんなに長くなってしまいました。
目が疲れた。
そして具体的な話を数件知っているだけで、一体どうやって利潤を回収しているのかが全然わからないってことがわかった。こういうのって聞いたら教えてくれるのかなあ。まあまた後日だなあ。


あ、people treeのワンピースほしい♥


1 件のコメント:

  1. 読ませて頂きました、読んでてためになりました!

    企業理念にフェアトレードのDNAが組み込まれている企業でも
    People Tree型の最初からフェアトレードに特化してビジネスで進めるタイプと、
    Shaplaneer型の支援先行型(元々NGO,NPOなどに多い)で、後フェアトレードに発展するタイプの2種類ありますよね。

    こういう話、もっと色んな人と出来たら良いですね!

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