4.23.2014

新しい農業、インターンで学んだこと。


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2月から4月までの3ヶ月間、農業情報系NPOでインターンシップをしていました。
主に海外調査を中心に、次世代農業の動きの片鱗を見てきました。扱ってきたのは、生産だと水耕栽培がメイン、消費はアジア市場です。水耕栽培のお手伝いなんかもちょびっとしました。
収穫したレタスをもらえたり、イチゴ農家で食べ放題したり、農業系はおいしいから好きです :9 (笑)
以下、インターンで学んだことを主軸に、次世代農業について思ったことを書きます。

  • 水耕栽培って?
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土を使いません。(細かい説明はパス!)
日本では植物工場などと言われ、室内でやったりもします。便宜上、区分をゆるくして土を使わないものを水耕と呼ばせてもらいます。
メリットとして、環境制御による生産調整ができること、周年栽培できること、高品質、清潔であることなどが挙げられ、
デメリットとして、初期投資費用が高いこと、ランニングコストが高いこと、販路確保が難しい(見てる限り農業新規参入者が多い)、結局農業だから手間がかかる、などが思いつきます。
結局コストが高くて続かないイメージ。
てことで、基本的に今までの農業と違うので、農業以外の分野からの新規事業としてのスタートアップが多いように見受けました。

  • 海外での水耕栽培
日本では新規事業として立ち上がったり、少しずつスーパーでも水耕野菜をみかけるようになりました。
オランダはトマトが超有名です。
ハウス栽培で、生産者は小さな組合を作り、ノウハウや知識を共有して効率的な生産に努めています。それにつきますが、技術やノウハウ、その共有が本当に効率的で、農業を輸出産業として成功させています。(ただし近年地中海の低人件費国に脅かされている様子。)
アメリカでは都市計画とともに水耕を取り入れる例が多くありました。
LEED(Leadership in Energy&Environmental Design)認証というものがあり、グリーンを取り入れたランドスケープがより評価されるようになってきています。大手スーパーのWhole Foodsでは屋上庭園で栽培した野菜をその階下のスーパーで販売することや、community gardenなど、流通経路を短くする地産地消のような動きも多いです。
マレーシアではまだ活発な動きになってないものの、高地における野菜生産が土地の限界を迎えており、低地(高温多湿・野菜生産にむかない)における新たな農法を模索しており、国家をあげて水耕などの農業技術に注力してるようです。
シンガポールや香港は自給率上昇は諦めて、輸入してたので生産はあまり関係ないですね。

  • 日本と水耕栽培
大企業が新規参入として水耕栽培事業を開始、または水耕に投資、などみました。生産が順調に行われているのは数社です。豊かな農産物をもつ日本は今のところ水耕栽培は必要なさそうに見えました。
しかし、今後の日本の農業を考えたら、企業が新規就農していくことは重要だと思います。
ふつうの土の農業従事者は減っています。また、基本的にはJAがいないと売り先がないのと、農業補助金が出ていないと収入が安定しません。
水耕は労働集約というより、資本集約型です。とはいえど人手は確実に必要なので、これに関してはこれ以上はわかりません。
また、水耕野菜はJAを介さず、小売店との直接契約による販売が多いです。このように、新しい野菜の流通の形を作ることが、JA依存の農業態勢を脱却する一つの足しになると思います。
補助金に関しては、現在水耕の初期費用が高いためにほとんどが補助金をもらってスタートアップしている状態ですが、それは野菜生産のためというより施設のためです。生活補助とは違い、事業運営押上のための補助金です。日本のためになる幼稚産業を育てるという意味で、この補助金の使われ方は正しいのではないかと私は思います。(必ずしも運転資金補助をもらってないわけではなく、私がちょっと見ただけの話です。)
そして、日本の水耕野菜の輸出の可能性は低いですが、水耕技術の販売に関しては可能性があるのでは、と思います。
海外製品の方が安くて調達しやすいのですが、他分野では長期的に見て日本の器具が耐久性が高く減価償却でみると安いなどの話を聞いたことがあります。
また、環境負荷の低いシステムなども得意なので、もっている技術を使いパッケージ化、システム化して輸出するべきだと思いました。(日本はこれが弱いそうです。)
技術に関してはほとんど知らないのでそれくらいしか言えないのですが、農業をめぐって新しい産業、新しいものの動きが起きていることを感じました。(とはいえ1990年代からあります)
長くなって来たので一度きります。

追記
  • 水耕vs有機
よく、土耕している人は、「土と太陽がないとおいしくない!」と言います。せやな。それは同意。けど、一般的な水耕と一般的な有機栽培・無農薬・減農薬栽培にも似ているところがあるなあと思いました。
それは、「流通の透明性」。
今後、より求められる基準だと思うから、そういうところが一致している点ではなかよしやよ、と思いました。

4.03.2014

8th FairTradeTown International Conference

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3月27日から30日まで、熊本市で開催されたフェアトレードタウン(以下FTT)国際会議に参加してきました。桜が咲き誇る熊本城の近くの会議場で、約30カ国のフェアトレード(以下FT)関係者が集まってパネルディスカッションをしたり、FTショップを出したり、ワークショップをしたり、夜は関係者との食事会もあり、、FT漬けの4日間でした。
刺激をうけたこと、これからのFTとの関わり方など色々感じたことがあったのでまとめます。
  • FTT(フェアトレードタウン)とは?
フェアトレードタウンとは、市民、行政、企業、小売店、学校など街全体でフェアトレードを応援する市町村、群、県などの自治体のことです。”
フェアトレードラベルジャパン
熊本は日本で唯一のFTTですが、世界には1000以上のFTTがあります。FTTに認定されるには、フェアトレードや地域社会に関わる6つの基準を守らなければなりません。(詳しくはフェアトレードラベルジャパンのサイトへ!)
今回の第8回目となるFTT国際会議は実は記念すべきアジア初の開催でした。
以下、会議で学んだこと、感じたことを書いていきます :)
  • FT推進の2つのアプローチ
程度の差はあるものの、どの国でもFTに対する認知度の向上は常に課題であり、”raising awareness”はどのトークセッションでもキーワードの1つでした。
話を聞いていると全体的に2つのアプローチがみえてきて、ひとつは「地域社会とともにFTを取り込む」、ふたつめは「他の社会的団体とともにFTを促進する」です。
FT単体では存在感が薄くリソースも少ないため恊働するというのはいい方策ですが、そのような効率性の面だけでなく、FTは「地域経済への意識の向上・顔の見える関係の重視」につながるほか、そもそも「世界規模での環境・貧困・人権等の社会問題への解決策の1つである」という性質があるため、単体で行うのではなく、恊働して行うことが自然な動きで効果的であるのです。
地域社会との連携の例では、北海道の乳製品とFTココアのチョコレートの例や、多くの国のファーマーズマーケット等との連携がモデルかなあと思います。
他問題活動との連携は、大きなイベントを開催する際に有効な手段だと感じました。特に学生団体はこの連携を強めていくのが全体としていい結果(学生に影響を与えられる)になるのではないかなあと思います。(京大はサステイナブルウィークが6月にあるからぜひ今年もがんばってほしいな!)
また、それらとのintegratedity(そう聞こえたのですが、how integrated they areって意味で使ったのだと思います)も大切とのこと!
  • FT促進の際に気をつけること
credibility, trustもひとつのキーワードだったように思います。FTを促進するときには、FTの信頼性に気を配らなくてはなりません。
これに関して、信頼されるためにFTの内外からできることが2つあるように感じました。
まず、内からはサプライチェーンの透明性、そして生産者へ良い影響が出ていることを担保すること。特に後者は独立した団体から認証を得たり、測定可能な基準に則って測られていることが求められます。
次に、国際機関や著名な団体から支持されること。ある意味難しい話を出すよりもよほど説得力のあることかもしれません。これに関しては次の項目で書きます。
  • フェアトレードタウンの意義
今回の会議に出席するまで、FTTにあまり意義を感じていませんでした。FT促進運動の1つくらいに捉えていました。
しかし、FTTは行政を巻き込むという意味で他のFT運動と大きく異なります。行政は一般の市民に対して広くリーチすることができるだけでなく、(基本的には)信頼されている存在です。
会議中に知り合ったオランダのFTT関係者の方が、市長を味方につけた話をしてくれました。市長がFTの味を認めたため、他でも信頼されてFTの信頼度があがり、浸透しやすくなったという話です。
FTTと似たような運動で「フェアトレード大学(FTU)」という運動があります。これも私の中で小さな存在でした。けれど、もし大学当局を味方につけたら?総長を味方につけたら?大学生協を味方につけたら?今までリーチできなかった学生にも広くFTを伝えられることができると思うし、1学生団体より学校が公式に取り組む活動の方が信頼性は格段にあがると思います。
  • アジアにおけるフェアトレード
以上の話とはまた少しかわって、アジア(特に東アジア)におけるFTについて少々。今回の会議では、香港、台湾、韓国のFT関係者もいて、ヨーロッパ勢に比べれば少ないものの、アジアのプレゼンスも感じました。
しかし勿論どの国もヨーロッパはもとより日本よりもFT浸透度合いが低い状況のようです。
・今後の打開策
アメリカ人のFT関係者の方が以下のようなアドバイスをしていました。
それぞれの国のリーダーは、それぞれの国に見合った認証制度やFT制度を用い、時によっては独自に作成し、それによって人々の行動に変化がおこるようにすべきである。
・日本の立場
以上のアドバイスを、私は、アジアはヨーロッパに倣うだけでなく独自のフェアトレード推進方策を考えるべきだ、と捉えました。日本はそのリーダー・ロールモデルとなるべく他のアジア諸国と頑張っていく必要があると感じました。
・アジア独特のきっかけ
ヨーロッパは歴史的に南の国とのつながりがあり、キリスト教精神という面からもFTが自然とうまれる土壌にあります。それに比べ、アジアが裕福になったのは戦後、または70年代や80年代です。そのようなアジアとFTはどのように結びつくのか?アジアの関係者のプレゼンを通して、「国内における貧困や社会問題とのつながり」が強いと感じました。
例えば、日本では震災後に倫理的消費が増えているという調査報告があります。香港では、2005年に開催されたWTO閣僚会議のときに様々な労働団体が各国から集まり啓発されたそうです。そして、台湾では現在中国との「アンフェア」な可能性のある内容を含むサービス貿易協定の問題があります。
経済が発展途上だからこそ国内の経済(地域経済)と結びつきながらフェアトレード文化が発展していけばいいなと個人的には思いました。
  • これからの私とフェアトレード
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まとめです。ここまでなんて長い文章を書いたんだろう!
(大学内でやり残したこと、やりたいことは死ぬほどあるのですが)大学を卒業すると同時にサークル活動も卒業しました。正直FTするためだけに院生になりたいくらいです。楽しいしね。
卒業後のFTとのつきあい方はぼんやり考えていたのですが、FTT国際会議のあとで新しくでてきたことは、「地元である武蔵野市をFTTにしたい!」ということです。(ゆうて武蔵野はこれから5ヶ月しか住まないけど)
会議中に東京の女子大生から「熊本市と東京都ではFTTにするにしてもアプローチがかなり異なると思うが、どのような違いが考えられるか?」という質問がパネリストに向けてありました。
これに対し、ロンドンのFT関係者の方が「ロンドンは34区にわかれているが、1区ずつFTTにしていき、半分以上がFTTとなったときロンドンをFTTと呼ぶようになった」と話していて、「これだ!」って思いました。
武蔵野市は私自身が持っているローカルネットワークもあるし、これから作り出せるものもあります。そして多分だけど、市民は市のことが好きだと思います。(これ大切だと思う)
全く形になっていないけれど、ぼんやりとそんなことを考え始めました。これからどうなるかはわからないけれど、なにかやりたいと思っています。卒業しても、みんなそれぞれの場で自分なりのFTやっていこうね!

おわり。

R.I.P to my dearest friend

My close friend in Tucson committed suicide It was Saturday morning here 7:30am Woke up and checked my phone Had a message from Tucson...