
2月から4月までの3ヶ月間、農業情報系NPOでインターンシップをしていました。
主に海外調査を中心に、次世代農業の動きの片鱗を見てきました。扱ってきたのは、生産だと水耕栽培がメイン、消費はアジア市場です。水耕栽培のお手伝いなんかもちょびっとしました。
収穫したレタスをもらえたり、イチゴ農家で食べ放題したり、農業系はおいしいから好きです :9 (笑)
以下、インターンで学んだことを主軸に、次世代農業について思ったことを書きます。
- 水耕栽培って?

土を使いません。(細かい説明はパス!)
日本では植物工場などと言われ、室内でやったりもします。便宜上、区分をゆるくして土を使わないものを水耕と呼ばせてもらいます。
メリットとして、環境制御による生産調整ができること、周年栽培できること、高品質、清潔であることなどが挙げられ、
デメリットとして、初期投資費用が高いこと、ランニングコストが高いこと、販路確保が難しい(見てる限り農業新規参入者が多い)、結局農業だから手間がかかる、などが思いつきます。
結局コストが高くて続かないイメージ。
てことで、基本的に今までの農業と違うので、農業以外の分野からの新規事業としてのスタートアップが多いように見受けました。
- 海外での水耕栽培
オランダはトマトが超有名です。
ハウス栽培で、生産者は小さな組合を作り、ノウハウや知識を共有して効率的な生産に努めています。それにつきますが、技術やノウハウ、その共有が本当に効率的で、農業を輸出産業として成功させています。(ただし近年地中海の低人件費国に脅かされている様子。)
アメリカでは都市計画とともに水耕を取り入れる例が多くありました。
LEED(Leadership in Energy&Environmental Design)認証というものがあり、グリーンを取り入れたランドスケープがより評価されるようになってきています。大手スーパーのWhole Foodsでは屋上庭園で栽培した野菜をその階下のスーパーで販売することや、community gardenなど、流通経路を短くする地産地消のような動きも多いです。
マレーシアではまだ活発な動きになってないものの、高地における野菜生産が土地の限界を迎えており、低地(高温多湿・野菜生産にむかない)における新たな農法を模索しており、国家をあげて水耕などの農業技術に注力してるようです。
シンガポールや香港は自給率上昇は諦めて、輸入してたので生産はあまり関係ないですね。
- 日本と水耕栽培
しかし、今後の日本の農業を考えたら、企業が新規就農していくことは重要だと思います。
ふつうの土の農業従事者は減っています。また、基本的にはJAがいないと売り先がないのと、農業補助金が出ていないと収入が安定しません。
水耕は労働集約というより、資本集約型です。とはいえど人手は確実に必要なので、これに関してはこれ以上はわかりません。
また、水耕野菜はJAを介さず、小売店との直接契約による販売が多いです。このように、新しい野菜の流通の形を作ることが、JA依存の農業態勢を脱却する一つの足しになると思います。
補助金に関しては、現在水耕の初期費用が高いためにほとんどが補助金をもらってスタートアップしている状態ですが、それは野菜生産のためというより施設のためです。生活補助とは違い、事業運営押上のための補助金です。日本のためになる幼稚産業を育てるという意味で、この補助金の使われ方は正しいのではないかと私は思います。(必ずしも運転資金補助をもらってないわけではなく、私がちょっと見ただけの話です。)
そして、日本の水耕野菜の輸出の可能性は低いですが、水耕技術の販売に関しては可能性があるのでは、と思います。
海外製品の方が安くて調達しやすいのですが、他分野では長期的に見て日本の器具が耐久性が高く減価償却でみると安いなどの話を聞いたことがあります。
また、環境負荷の低いシステムなども得意なので、もっている技術を使いパッケージ化、システム化して輸出するべきだと思いました。(日本はこれが弱いそうです。)
技術に関してはほとんど知らないのでそれくらいしか言えないのですが、農業をめぐって新しい産業、新しいものの動きが起きていることを感じました。(とはいえ1990年代からあります)
長くなって来たので一度きります。
追記
- 水耕vs有機
それは、「流通の透明性」。
今後、より求められる基準だと思うから、そういうところが一致している点ではなかよしやよ、と思いました。